通称ボート免許といわれる小型船舶操縦士の免許は、エンジンを搭載した小型船舶を操縦するときに必要な資格です。長さ3メール未満で2馬力以下のミニボートには必要ありませんが、長さ3メートル以上のモーターボートや2馬力を超えるエンジンを搭載するボートには、たとえそれがカートップボートやインfレータブルボートであっても、ボート免許が必要になります。もちろん、水上オートバイ、あるいはエンジンつきのヨットを操縦するにもボート免許は必要となります。
ボート免許には、「一級」「二級」「二級(湖川)」「特殊」があります。それぞれの免許で操縦できる船と航行できる水域が違います。一級と二級は「海岸から5海里」という航行区域で区切られます。皆さんが乗るスモールボートやトレーラブルボートの場合は、二級免許で十分です。
総トン数20トン未満、または、長さが24メール未満で用途がスポーツやレクレーションに限られる船が操縦できます。航行区域に制限はありません。ただし、水上オートバイは操縦できません、外洋で釣りをしたり、ヨットで国際航海をしたい方は、一級免許が必要です。
一級と同じく、総トン数20トン未満、または、長さが24メートル未満で用途がスポーツやレクレーションに限られる船が操縦できますが、航行区域が、平水区(河川m湖沼や港内と、法令に基づいて定められた51ケ所の水域)、および海岸から5海里(約9km)以内の海域です。水上オートバイも操縦できません。沿岸や湖でも釣りなど、陸から近い場所でボートを楽しむ方に適しています。
総トン数5トン未満で、エンジンに出力は15KW(約20.4馬力)未満に船を、湖や川および指定された水域だけで操縦できる免許です。小出力エンジンの船を利用し、湖や川だけで釣りなどを楽しむ方には適しています。
水上オートバイ専用の操縦免許です。
ボート免許を取るためには、大きく分かれて2つの方法があります。
ひとつは受験コースといわれるもので、試験期間である(財)日本海洋レジャー安全・振興協会が実施している身体検査と学科、実技の国家試験を受けて習得する方法です。
独学でも試験に合格すれば免許がとれる制度ですが、一般的にはまず民間のボート免許スクールで教習を受けてからの受験となります。
もうひとつは教習所コースといわれるもので、国土交通省に登録している「登録小型船舶教習所」(いわゆるボート免許教室とは違う)で規定の教習を受けて免許を取る方法です。
学科、実技のそれぞれの教育の最後に終了審査がありますが、これに合格すれば学科と実技の国家試験が免除されます。公認自動車学校に入って実技免除で自動車免許を取るのと似た、確実性の高い方法といえます。
国土交通省に登録された小型船舶教習所は全国に22団体あり(2008年時点)、それぞれが同一カリキュラムで教習を行っています。
ボートの操縦者が航行できる海域はボート免許で規定されますが、船に航行できる区域は、船検によって指定されます。船検による航行区域は、平水区域、沿岸区域、沿海区域、近海区域、遠洋区域に分けられます。
プレジャーボートのほとんどは、「沿岸」(海岸から5海里以内)か、海域を限定した「限定海域」を指定されます、免許で規定された区域と、船検で規定されるボートの航行可能区域が異なる場合があるので注意してください。
船検とは別に、小型船舶は登録が必要です、自動車における車両登録制度に相当するものです、ミニボートは登録不要ですが、長さ3メートル以上のボート、2馬力以上のエンジン付ボートは、日本小型船舶検査機構に登録し、船舶番号を車体に表示しなければ航行させることができません。ボート免許を取るためには、大きく分かれて2つの方法があります。
船舶番号は都道府県の名称と船舶検査済票とを組み合わせたもので、自動車のナンバープレートに相当します。
車に対する車検と同じように、船は定期的に船舶検査(船検)を受けなければならないことが法で定められています。検査の対象のなるのは、エンジンつきの船で、モーターボートをはじめ、水上オートバイ、エンジンのついたヨットなどもそうです。例外は、長さ3メートル未満、2馬力以下のミニボートで、船検が必要ありません。
長さ3メートル以上のボートは、船検を受けなければなりませんが、長さ3メートル未満のボートであっても、4馬力とか8馬力とか、2馬力を超える出力の船外機を搭載する場合は、やはり船検を受けなければなりません。
総トン数20トン未満のボートは、日本小型船舶検査機構(JCI)の支部の係がマリーナは漁港に出向き、検査を行います。
船検の種類には定期検査、中間検査、臨時検査、臨時航行検査の4つがあります。一般的なモーターボートの場合、船検証の有効期間は6年、そして3年経つと中間検査、その3年後に定期検査を受けることになります。
定期検査に合格すると船舶検査証書(船検証)1枚、船舶検査手帳1冊、船舶検査済票1組が交付されます、船検証には、ボートの航行区域は指定されます。
ボートを航行させるときは法定備品を積まなければなりません、船検を受ける際には法定備品の有無も確認されます。
船検の手数料は船のサイズや定員によって差がありますが、3メートル以上5メートル未満のボートの場合、定期検査で16,700円、中間検査で8,200円となっています。
毎回車やトレーラーでどこかに運搬して使う小さなボートは、母港を定められません。そこで陸岸から3海里の区域と、ボートを下ろした地点から半径数海里(ボートスピードによって変わります)の円の区域は、オーバーラップした部分がボートの航行区域に指定されます。
ただし、設備条件などを満たしたトレーラブルボートの場合、陸岸から5海里まで航行できる「沿岸小型船舶」を取得することも可能です。